上智大学の学生フォーミュラチーム「Sophia Racing」は、2003年よりFSAEの学生フォーミュラ国際大会に参戦してきた歴史あるチームです。
内燃機関 (ICV) 参戦時代にはJSAE (学生フォーミュラ日本大会) で5度の優勝を果たしており、スポンサーの支援を受けて2021年には電気自動車 (EV) 部門へ移行する大きな転換を行いました。
彼らの主な目標は、初の電動車両ER02におけるエアロパッケージを完成させることでした。
ダウンフォースを最大化しながら抗力を最小限に抑えることを目指し、空力性能の最適化に取り組みました。
効率性を再定義: SimScaleはコンピュータの要求を最小限に抑え、生産性を最大化します。
- Sophia Racing チームメンバー

Sophia Racing: 専門性・革新性・協働の融合
Sophia Racingは、2000年の創設以来、Formula SAE大会において存在感を示してきたチームです。
「Prove to the world~真価の証明~」というモットーのもと、日本の学生が持つ世界水準のものづくり力を発信することを目標に活動しています。
工学部をはじめとする理系学生から、経済学部や法学部などの文系学生まで、多様な学問領域の学生で構成されている点も同チームの大きな特徴です。
専門分野は異なっていても、「勝てるマシンをつくる」という共通の目標のもとに結束し、複雑なレーシングカーの開発に伴う数々の課題へ一丸となって挑戦しています。その姿は、分野横断的な協力体制と粘り強いチームワークの力を体現しています。
さらにSophia Racingは、エンジニアリング活動にとどまらず、スポンサー企業とのミーティングや各種イベントへの参加、大学のオープンキャンパス企画への協力など、対外的な活動にも積極的に取り組んでいます。こうした交流を通じて、技術力を発信するだけでなく、社会とのつながりを広げ、貴重なネットワークを築いています。
SimScaleを活用した空力解析
パンデミック下において、チームは深刻な人員不足に直面し、空力開発を含むあらゆる活動に影響が及びました。
さらに、隔離期間中のリモートワークという制約もあり、効率的かつ高精度な解析を実施できるツールの必要性が一層高まりました。
その中で、個々のデバイス性能に依存せず利用できるクラウドベースのプラットフォームとして、SimScaleが有力な選択肢として浮上しました。こうしてチームは、シミュレーション基盤としてSimScaleを採用するに至りました。
SimScaleをワークフローに組み込む前には、解析設定やメッシング手法について理解を深める必要がありました。
しかし、SimScaleが提供するチュートリアルやオンラインワークショップを活用することで、必要な知識とスキルを短期間で習得することができました。
その結果、チームはさまざまな障壁を乗り越え、空力開発においてSimScaleを効果的に活用できる体制を整えることができました。
SimScaleが果たした役割
シミュレーションの実施にあたり、チームは非圧縮性流れ解析を選択しました。
SimScaleが提供するオンラインチュートリアルは、プロジェクトの基本的なワークフローを構築するうえで大きな助けとなりました。
特にチュートリアル「学生フォーミュラカーの周りの非圧縮性流れ」は、解析設定およびメッシングの構成を行う際の有用な指針となりました。
また、ポスト処理ではResults Control機能を活用し、車両性能の評価を行いました。
当初はフロントウイング単体の解析から着手し、その後、車両全体を対象としたシミュレーションへと段階的に発展させていきました。
フルモデル解析の結果をResults Controlなどの機能を用いて検証したところ、サイドボディの性能にばらつきが見られることが判明しました。
これを受けて形状の見直しを行い、課題を的確に改善しました。
シミュレーションの過程では多くのエラーにも直面しましたが、SimScaleが提供する豊富なオンラインリソースが問題解決に大きく貢献しました。
さらに、SimScaleフォーラムに質問を投稿し、得られた有益な回答をもとに課題を一つずつ解決していくことで、解析を着実に前進させることができました。

SimScaleは、プロジェクト開発に最適なソリューションです。
正確で便利、そしてアクセス性も抜群です。他のシミュレーションツールは個人のハードウェアの能力に依存しますが、SimScaleはクラウドネイティブであるため、私たちのチームが前回のプロジェクトで実現したように、効率性という点で大きなメリットが得られます。- Sophia Racing チームメンバー
チームは、SimScaleが非常に利便性と操作性に優れていると評価しています。
特に、複数コアを気軽に活用できる点は大きな特長であり、ハードウェア性能の制約を超えて解析時間を大幅に短縮できることに強い魅力を感じていました。
Sophia Racingは、とりわけメッシング機能に感銘を受けており、求めるメッシュ品質を実現できる柔軟性と、多様な設定パラメータを備えている点を高く評価しています。
さらに、解析結果を可視化するインターフェースは情報量が豊富であると同時に視覚的にも洗練されており、現象の理解を深めるうえで大きな助けとなりました。

2023年に開催されたSAEデザイン&デベロップメント・チャレンジ (インド) に参加したSophia Racing
Sophia Racingの次のステップ
SimScaleを活用したシミュレーションに取り組んだ結果、チームは当初掲げていた目標を達成しました。
各シミュレーションの実行時間は、形状やメッシュ密度などの条件によって大きく異なりましたが、メッシングに約30〜60分、解析実行に約3〜5時間を要しました。
2023年大会ではEVパワートレインの電気系トラブルという不測の事態に見舞われ、動的審査への出場は叶いませんでした。
しかし、その取り組みは高く評価され、Best Aerodynamics Awardで第3位を受賞しました。
この成果は、チームの努力とSimScaleによるシミュレーションの有効性を明確に示すものです。
SimScaleが備える幅広いシミュレーションの機能は、今後の開発においてもSophia Racingの大きな力となるはずです。
SimScaleは今後も同チームとの継続的な協力を楽しみにしています。
もし、学生フォーミュラのスポンサーシップにご関心をお持ちでしたら、下記お問い合わせよりお気軽にご連絡ください。
本記事は、https://www.simscale.com/blog/team-sophia-racing-student-success-story/ の抄訳です。