Bühlerは、サステナブルな食糧・飼料の供給、ダイカストや湿式粉砕といったプロセス、さらにはバッテリーやガラスコーティングなど多彩な事業をグローバル展開するエンジニアリング企業です。

課題

Bühlerは、より多くのエンジニアが早期にシミュレーションを行い、情報に基づいた設計判断を下せるようにすることを目指しています。その際、経費を抑え、品質を管理することも重要です。課題としては、世界中に分散した労働力、複数のCADシステム、シミュレーション知識のばらつきなどがあります。また、Bühlerは2030年までに温室効果ガス排出量を60%削減することを目標としています。

SimScaleで得られた結果
  • 25の部門がクラウド でシミュレーションを使用
  • メカエンジニアとプロセスエンジニアの15% がクラウドでシミュレーションを使用
  • 2週間で60種類の設計案を検証

Bühlerの取り組み:より多くのエンジニアがシミュレーションを使用できるようにすることでイノベーションを加速

競争力がある製品を迅速に開発するために、CAEは欠かせないツールとなりました。設計者が、CAEツールにアクセスしやすくなることで、初期段階で設計案に関する洞察を得ることができ、設計案に反映できます。完全クラウドCAEは、グローバルなチームにシミュレーションツールへのアクセスを容易に提供し、従来のR&Dプロセスに革新をもたらします。

Bühlerは、世界各地に分散する大規模なエンジニアグループでSimScaleを導入することで、研究開発のコラボレーションを促進しました。同社のエンジニアリングチームは、簡単なログインによるシミュレーションへのアクセス、企業レベルの管理者によるシミュレーションの管理、コラボレーション機能といったメリットを享受しています。 これらの機能は、組織のITシステムに適合させることでシミュレーション技術の大規模な展開を可能にし、計算リソースとコストを最適化するために不可欠です。 すべてのユーザーは、流体解析や構造解析など、開発を加速するシミュレーションにアクセスできます。

Bühlerが目指すゴールとその背景

Bühler のコーポレート テクノロジー部門のシミュレーション チーム マネージャーである Richard Vonlanthen 氏は、BühlerにおいてSimScaleを展開する上で重要な役割を果たしました。Richard 氏と彼のチームは、より多くのエンジニアが早期にシミュレーションを実行し、十分な情報に基づいて設計上の決定を下し、なおかつコストを抑えて品質を管理できるようにすることが達成するべきゴールとしました。この背景には以下のような状況がありました。

  • 世界中に分散したエンジニア、シミュレーション知識のばらつき
  • チーム/部門で複数の CAD ツールを使用
  • 様々なレベルのハードウェア 
  • Bühlerが扱う様々な技術分野 = 様々な現象の解析

Richard Vonlanthen
Simulation Team Manager in Corporate Technology at Bühler

Simulation with SimScale has helped us to improve the conversations with potential customers, highlighting our innovation capacities, increasing speed of response and savings. In general, we can say that by using simulation during the design process, we can speed up mechanical and process development by weeks or months, reducing the number of necessary physical trials. Moreover, we can avoid expensive warranty cases, depending on the size of the facility or the number of machines at risk. For us, simulation is very much about ‘getting it right the first time’. The deployment was made very easy for us, due to three key factors: (i) no local installation or hardware required, (ii) easy and secure access with single-sign-on, and (iii) fist-class support of the Customer Success and the Support team at SimScale. They proactively engage in onboarding new users, and help promoting SimScale internally.

SimScaleを使用したシミュレーションは、潜在顧客との会話を改善し、当社の革新能力を強調し、応答速度とコスト削減を向上させるのに役立ちました。一般的に言えば、設計プロセス中にシミュレーションを使用することで、機械およびプロセスの開発を数週間から数ヶ月早め、必要な実試験の数を減らすことができます。さらに、施設の規模やリスクにさらされる機械の数に応じて、高額な保証ケースを回避することができます。私たちにとって、シミュレーションを行うことは「最初から正しく行う」ことです。導入は非常に簡単でした。主な理由は3つあります:(i) ローカルインストールやハードウェアが不要、(ii) シングルサインオンによる簡単かつ安全なアクセス、(iii) SimScaleのカスタマーサクセスおよびサポートチームの一流のサポートです。彼らは新しいユーザーのオンボーディングに積極的に関与し、社内でのSimScaleの普及を支援してくれます。

Bühlerは、使用状況と品質を中央で管理しながら、すべてのエンジニアにグローバルアクセスを提供するために完全クラウドCAEを選択しました。初期の展開は80人以上のエンジニアに対して行われ、機械およびプロセスエンジニアの15%もがクラウドでシミュレーションをするまでに成長しました。展開は、ガイダンス、サポート、およびシミュレーションテンプレートを提供する社内のエキスパートによってサポートされており、目標は世界中の機械およびプロセスエンジニアの25%以上に使用を拡大することです。

以前は、シミュレーションソフトウェアとハードウェアへのアクセスは特定の場所と解析技術者に限定されていました。どこからでもいつでもウェブブラウザでアクセスできるクラウドネイティブツールを選択することで、Bühlerは高度なシミュレーション技術にアクセスできるエンジニアの数を急速に増やすことができました。COVID-19が発生し、オフィスが制限されたとき、ブラウザベースのソリューションは在宅およびハイブリッドワークを活用する追加の利点を提供しました。Bühlerは、ブラジル、インド、アフリカ、中国のグローバルオフィスに優秀なエンジニアを擁しています。クラウドネイティブツールを使用することで、費用対効果が高い方法で高度なシミュレーション機能を世界中に公平に展開し、アクセスできるようになりました。

シミュレーションを使用するエンジニアは、設計性能を定量化、可視化、および最適化するための高度なシミュレーション機能を活用して製品を開発しています。独自の価格モデルを使用することで、Bühlerのエンジニアは必要に応じて日次、週次、または月次でシミュレーションを使用でき、必要に応じて使用量を拡大する際の制限がありません。現在、すべての機械およびプロセスエンジニアの15%が、4大陸の10の事業部にまたがる25の部門にてクラウドシミュレーションプラットフォームを使用していますエンジニアはすべての解析タイプにアクセスでき、最も一般的に使用されるのは流体解析と構造解析です。展開戦略は、Bühlerが使用していた従来の固定ライセンスのシミュレーションソフトウェアと比較して、ユーザー数を10倍に増やすことを目指しています。多くのチームはそれぞれ使い慣れたCADツールを好むため、幅広いジオメトリ形式に対応している必要があります。SimScaleはさらに、自動のメッシャーも備えるため、シミュレーションまでの手順をシンプルにしています。さらには、組織ダッシュボードを使用することで、グローバルに使用状況の確認と管理や、利用可能な計算リソースの設定、パワーユーザー(管理者)による解析テンプレートの提供、トレーニング用例題の配布も可能となりました。

Bühlerでは、完全クラウドなシミュレーションアプローチが形になりつつあります。マネージャーは、会社全体で解析ツールを展開することで研究開発の最前線に立つことができることを認識しています。クラウドネイティブシミュレーションは、上記のすべての問題に一度に対処することを初めて可能にしました。SimScaleは単にシミュレーションツールを提供するのではなく、会社全体での展開を可能にするために必要なすべての側面を統合し、以下の点で垂直統合された統合ツールを提供します:

  • ユーザーおよびライセンス管理
  • データとセキュリティ
  • プロセスとワークフローのカスタマイズ
  • インフラストラクチャとセキュリティ

シミュレーションを早期に活用することで設計決定の信頼性が向上

Bühler のシミュレーション専門家は、世界中のエンジニアリング スタッフにサポートとガイダンスを提供する、高度なスキルを持つエンジニアのエキスパート チームで働いています。このコア チームは、ソフトウェア トライアル、カスタマイズされたトレーニング ワークショップ、迅速な技術サポートなどのロールアウト戦略を練って、シミュレーションの導入に尽力してきました。彼らの役割には、R&Dなどの多様なチームから、Bühlerのあらゆる部門で製品開発に携わるエンジニアのオンボーディングが含まれており、しばしばシミュレーション経験が限られているエンジニアも含まれます。さらに、このコアチームは、より困難な解析プロジェクトにおいては、エキスパートとしてその高度なシミュレーション技術を発揮します。

シミュレーションの成功 

Bühler の組織全体で、SimScaleは多様な技術課題に展開されています。例えば、大規模な農業機器の構造を評価することから、食品加工機械をよりエネルギー効率の良いものにすることまでです。Corporate Technology部門のシニアシミュレーションエンジニアであるClément Zémerliは、他のチームにアドバイスを提供する高度に専門化されたシミュレーションエンジニアのチームの一員であり、SimScaleの導入による迅速な成果を示す以下のプロジェクトに関与してきました。

Clément Zémerli
Senior Simulation Engineer in Corporate Technology at Bühler

Integrating simulation early in the product development process allows to better understand the physics and gain confidence in design choices. With SimScale every design engineer has access to simulation.

製品開発プロセスの早い段階でシミュレーションを活用することで、物理現象をよりよく理解し、設計の選択に自信を持つことができます。SimScaleであれば、すべての設計者がシミュレーションにアクセスできます。

以下の図は、産業規模の製麦施設について実施した流体解析の例です。年間1,000トンから17,000トンの麦芽を処理する標準化されたモジュール式製麦プラントの解析を行いました。流体解析では流体の流れをモデル化し、プロセス全体の流速と圧力損失を可視化し、最適化するために使用されます。シミュレーションにより、異なるサイズのパイロットプラントを構築してテストすることなく、製麦プラントをスケールアップすることが可能になりました。

上図:製麦施設のCAD、下図:製麦施設内の流れ

Folke Schmidt
R&D Team Manager in Grain Quality at Bühler

SimScale is easy-to-use with great support, such that a simulation newbie was able to study 60 different design variants in only 2 weeks, which eventually allowed to gain confidence for the scale-up.

SimScaleは使いやすく、サポートも充実しているため、シミュレーション初心者でもわずか2週間で60種類の異なる設計バリエーションを研究することができました。これにより、設備のスケールアップ施策に対する自信を得ることができました。

多くのエンジニアがシミュレーションに触れられることで、小さなカスタマイズの迅速な検証を可能にするもう一つの例は、シンプルな構造解析によるものです。顧客に応じた設計についても、設計エンジニアが直接シミュレーションで確認できます。以下の場合ではモータープレートの構造解析を使用してVon Mises応力を計算しました。SimScaleではさらに、振動のシミュレーションまで実施できるので、振動による安全性の問題がないかも確認できます。

左図:モーターとモータープレートのCADモデル、右図:モータープレートの構造解析で求めた応力の分布

Markus Huber
Mechanical Development Engineer in Grain Quality at Bühler

With SimScale we can now verify customized parts and assemblies on our own without detouring to (external) simulation analysts.

SimScaleを使用することで、(外部の)シミュレーションエンジニアに頼ることなく、カスタマイズされた部品やアセンブリを自分たちで検証できるようになりました。

以下の画像に示されているローラー切断機は、衛生的かつ効率的な性能を最適化するよう設計します。刃について構造解析を行うことで、その重量を減らし、衛生状態を改善し、強度を維持できる設計の思案や、さまざまな荷重および運転条件下での変形と応力を評価できます。

左図:ローラー切断機、右図:構造解析で得たクラッカー切断用の刃の変位

Anton Auszerlechner
Deputy Manager Feed and Forming Cracker in Consumer Foods at Bühler

With SimScale we can now verify customized parts and assemblies on our own without detouring to (external) simulation analysts.

SimScaleを使用することで、(外部の)シミュレーションエンジニアに頼ることなく、カスタマイズされた部品やアセンブリを自分たちで検証できるようになりました。

Bühlerが得たもの

Bühlerにとって、全社レベルで高度な解析ツールを大規模に展開することは非常に単純なことになりました。エンジニアは、ウェブブラウザから毎日、毎週、または毎月シミュレーションを使用でき、ライセンスやハードウェアの制限はありません。これより、必要に応じて使用量を拡大することも可能です。同規模の他のエンジニアリング企業と協力する中で、ビジネス全体でシミュレーションを使用する明確な利点も見えてきました。様々な業務のなかでシミュレーションを活用することは、ビジネス上でも定量化できる重要な成果が得られました:

  • ノウハウの迅速な蓄積と設計の収束
  • 初期製品設計の性能検証
  • 物理的なプロトタイピングコストの削減
  • エンジニアのスキルアップとトレーニング
  • イノベーションの意識と能力の向上
  • すべてのクラウドソフトウェアへ集約することによるコスト削減
  • 従来のシミュレーションツールで生じる高額なハードウェアおよびライセンス費用の削減

本記事は、https://www.simscale.com/customers/buhler-deploys-simulation-company-wide/ の抄訳です。